SHIBUYA INTELLIGENCE LIVE2016

3月9日から3日間開催されていたのが「SHIBUYA INTELLIGENE LIVE 2016~國學院大學ヒカリエキャンパス~」。國學院大學が「学びはクリエイティブ」をコンセプトに、ビジネスパーソンに向けて行うライブ形式のトークイベントで今年のテーマは「失敗」でした。國學院大學の若手研究者たちが、それぞれ自身の経験や研究から得た「失敗」についてトークを行うというもので、1 日目は「歴史×IT」、2 日目は「経済×宗教」、そして3 日目は「政治×こども」と 3 日間を通して異色のコラボレーションが展開されました。

どれも興味深い内容ですが、今回は2日目の「経済×宗教」を聞いてきました。

SHIBUYA INTELLIGENCE LIVE

会場は渋谷ヒカリエの8階「8/COURT」です。平日の夜だというのに満員で、注目度の高さが伺えます。

この日のプログラムは大きく分けて3つに分かれていて、國學院大學で専門が経済の星野広和教授と、宗教が専門の藤本頼生准教授がそれぞれ30分のプレゼンテーションを行ったあとは、クリエイティブディレクターの箭内道彦さんを交えてのトークライブ。「失敗」から導かれる明日のビジネスに生きるヒントとは一体なんでしょうか?

■学ぶのは成功体験からではない
星野教授によると、プロジェクト失敗してしまう原因のひとつは、他者の成功体験を自分にも期待してしまうことだといいます。たしかに成功体験を知ることは自分のプロジェクトにも役立ちそうですが、そこにはタイミングや運なども重なっていることが多く、必ずしも同じ方法で成功するというわけではないようです。そのため、成功体験そのものを疑い、過去の失敗体験を見ることが大切。たしかに、先輩の成功した話を聞いても、それが同じように自分に当てはまるわけではありませんよね。

ほかにも失敗しないために星野教授は「損切りは他人にしてもらう」ことが大切だと話します。お金や時間など、投資すればするほど自分では損切り判断がしにくくなります。そこで、周りをイエスマンで固めず指摘してもらえる環境を作ることが大切というわけですね。

■失敗は自分のせいだとは限らない
藤本准教授は戦後、神社が日本からなくなる危機を乗り越えた話を例に、どうすれば失敗をしないかという具体的なポイントを紹介しました。

「スーパークリエーターによる情報収集と企画」、「カリスマモデレーターによる合意形成」、そして「孤高のリーダーによる交渉」の3者で大きな成功を生み出したという話は、現在の私たちにも参考になります。

また、宗教行事についても「先人たちは成功したときに、節目にお祝いなどで伝えてきた。お祝いや感謝を通じて周りの人と共有することで、物ごとを振り返っていた」と話していました。周りの人とコミュニケーションしながら失敗を回避するということは、星野教授の話と共通する部分と言えますね。

■失敗を大事にする
プレゼンテーションのあとは箭内道彦さんを交えてのトークライブです。それぞれ自身の失敗談を話し会場を盛り上げてくれました。

箭内さんは「失敗が成功につながるということはみんな知っている」としながらもだからこそ周りの人のことを考えることが大事だと指摘。「失敗はまわりに迷惑をかける。失敗を寛容に見守ってくれる社会や周りの人に感謝し、自分も他人の失敗に寛容でいたい」という言葉には参加者も納得していました。

成功体験だけでなく失敗体験も学ぶことや、プロジェクトを進行するために適切に役割分担することなどは、今日から仕事に生かせそうです。失敗はできるだけしたくないもの。だからこそ、失敗を大事にし、また周囲に対して寛容でいたいと感じることができたトークイベントでした。


家電チャンネル副編集長 西岡舞子431370_175839735864754_142095489_n