Start Up SAUNA

9月17日、フィンランドのインキュベーター「START UP SAUNA(スタートアップサウナ)」が東京予選を開催した。優勝者は「Brand Pit(ブランドピット)」。ソーシャルメディアで共有された画像から、商品のブランド名を認識できる画像検出技術サービスだ。Brand Pit は 11 月にフィンランドで開催される「SLUSH 2013(スラッシュ2013)」に参加する。

今回で6 回目となる SLUSH。スタートアップ企業のハブとしてフィンランドだけではなく、世界中から注目されている。今回の SLUSH 参加企業は1000 を予定し、これは昨年の600 から大きく増えている。さらに、スタートアップ企業への投資額も昨年の300 億ドルから、今年は 700 億ドル以上へ。フィンランドの注目ぶりがわかる数字だ。

では、なぜフィンランドなのか?

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フィンランドを代表する企業に NOKIA(ノキア)や、人気ゲーム「Angry Birds(アングリーバード)」を展開している「Rovio Entertainment (ロヴィオエンターテイメント)」がある。ロヴィオ社の CMO ペーテル・ヴェステルヴァッカ氏はフィンランドの教
育に秘密があるのではと話す。



「フィンランドでは、学生たちが自由に時間を使うことができる。教育の質がいいということもあるが、その自由な時間をクリエイティブに使っているように感じます。実際、ロヴィオも最初は学生たちがスタートしたプロジェクトでした。そこから世界を変えることができると、みんな気が付いているんでしょうね。自分のことを振り返っても、好きなことをしないと生きていけない、と思っています。イノベーションは引き起こすことができ
る。だから、学生や若者をこれからもサポートしていきたいと思っています」。

スタートアップや若手へのサポートと聞くと、アメリカのシリコンバレーを思い出すが、フィンランドはシリコンバレーとは圧倒的に違うと話すのは、スタートアップサウナのエグゼクティブプロデューサーであるマッテ・フヤネン氏。
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「1 年の半分は冬で太陽も見えない。特にフィンランドの、11 月は大変ですよ。冷たく、辺りは暗く、地面はぬかるんでいる。街の中にも観光客はまったくいませんよ」。

さらに地下資源も乏しいフィンランドは、ヨーロッパの中でも貧しい国のひとつだった。それでもフィンランドでは社会福祉が充実しており、大学院まで無料で教育を受けることができる。

高い教育を持ち、誰もが英語など外国語を話すことができるため、最初からグローバル市場に挑戦することができたというのも大きなメリットだ。フィンランドが教育という手法を通じて、「人」へと投資をしてきた結果とも言えるかもしれない。

ロヴィオ社のペーテル氏は日本にも期待をしていると言う。「シリコンバレーが生まれたのが1939 年。そして、フィンランドが大きく変化したのはこの5 年です。今回日本で始めてイベントを開催して、東京にも活力やエネルギーを感じました。フィランドと似ていると思います」。

人に投資し、周囲のサポートとともに能力を伸ばしていこうとするフィンランド。日本も学ぶところが多いように感じる。



■参考リンク
SLUSH 2013(英語)

記事提供:M/M (mement/moment)