明智光秀

別に接待を受けちゃいけないなんて一言もいってないよ、
おれにメンチカツ食わせてもらうのもまぁー接待の範疇に
勘定できないこともないだろうから。

色々な人との出会いがある。
食事を一緒にして、一緒に酒を飲んで、旅の途中で出会って、
困ったことの相談で、偶然だか、必然だか、まっともかく一杯。
意図的に会わせたい、会いたいというのも勿論あるよね。
中には「遭う」という表現を使うようなものもあるけど。

一期一会、そんな出会いは大事にしたい、中には自分の人生に
とっていい意味で莫大な出会いもあるんだから。

ただ結婚と同じで、出会ってもこれからも一緒に歩いてみようかな
という相手に最低必要条件は「価値観」に共通項のあること、
そんな気がする。


外がやけに騒がしいぞ、あっ、やさしい24が花火を打ち上げてる。
わぁ、綺麗だなぁ。わぁ、大きいな。近所の人たちも笑顔だよ。
<ヒューン ボッカ-ン>


「花火大会の実行委員長は子供たちの味方です」へぇ、そうなんだ。
でもさ味方ってことは、あれだね、敵もいるってことなのかねぇ。

おいおい、どうしたんだ。それを言っちゃおしまいよ。
詰まるところ、ここから去るしか後がないと泣いちゃうよ。

柴又の駅のホームで線香花火を1万束肩から背負い、
猫背気味な後姿で、そう、ちょうどホームのど真ん中あたり、
恨めしそうに、下腹部を抉るかのごとく振り返り睨むね。

心の中じゃ、こう叫んでます「愛してるのにバビバビ」

結局、独りじゃなきゃ成立しないって現実でしょ。そうそう。
いずれにしても興味あるのは創作だけぞなもし、ビバビバ。
他に長続きしたためしがないってのは噂じゃなさそうだもんね。
努力して絶世美女を射止めても、恋が冷めりゃ、はいそれまでよ。

旅好きとか定評だけどねぇ、心の世界じゃ、ずっと同じ場所から
離れられない弱虫らしいって週刊誌に載ってたの見た記憶がある。


ピンポーン。

「おや、誰だろう?」

僕は忍び足で玄関に向かい、小声で「どなたですか・・・」そう聞いた。

「明智光秀です。」

あんれまぁ、明智小五郎だったら良かった。本当の気持ちでしょ。
しばらく居留守をすることにしたが、一向に明智光秀は立ち去らない。

どれくらいの時が流れただろう、もはや今週自体が罪悪感そのものになった。

罪悪感に包まれていると眠くなってきた。

翌日、さらに翌日、とうとう1週間が過ぎてしまった。
明智は居留守を見抜いているのだ。しかし、一体何の用なんだろう。

窓の隙間から明智を眺めながら考えた。もしや、明智は無睡眠?
次の瞬間、誰かに肩を叩かれた、振り返ると優しい24がいた。
「話だけでも聞いてあげれば?」そして僕は玄関を開けた。

明智光秀の顔を見るのが怖かった。どれだけ怒っていることやら。
だが意外にもキラキラした笑顔だった。
明智光秀は懐から一枚の写真を取り出して僕に渡した。
「ほぃ、これ拾ったんじゃ。お主の母上であろう。」

涙が止まらなかった。


2013_はじめ筒井はじめ(Tsutsui Hajime)

芸術家。東京都出身。小学生の時からアート活動を開始。賞歴は6歳から始まる。手掛けるデザインはファッション界も強く結びつき、早乙女太一の着物をはじめ、数多くの女優の衣装を担当する。各界から注目されはじめ、2013年4月ロイヤルミュージアム上野の森美術館で個展を開催した。日本お地蔵さまを守る会の臨時副会長。
FaceBookアカウント:筒井はじめ

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