結解十郎兵衛

被害→不安→混乱→自分は正しかったのに→誰かのせいに→

どうにかしろ→精神不安定→生きていること「お陰さま」を見失う。

被害者心理なんてみんなこんな感じ。どうにもならないものに対して

文句を言うのもいいけれど、誰かれなく罵ったって見苦しいだけ。

そもそも自分の存在なんてものは必ず誰かの「お陰さま」ってもんで。

それは親にはじまり、人それぞれのそれらが生きてる限り続くもんで。



人間はもしかしたら自意識が過剰すぎるのかもしんない。

虫や植物なんかは、見れば見るほど自意識が見えない。

そりゃ性質みたいなものは全ての生き物にあるんだろうけど、

人間、そう特に俺は自意識が過剰すぎて、しこたままいる。



それはそうと、今日、やさしい24は猫の絵を描いていたよ。



罪な甘さ、罪な甘さ、それはヤクルト。

罪な甘さ、罪な甘さ、それはヤクルトおばさん。

ヤクルトおばさんから受け取るお釣りに罪を感じるのは甘さの罪さ。



今日は単純にいこう。





ピンポーン。



「おや、誰だろう?」



僕は忍び足で玄関に向かい、小声で「どなたですか・・・」そう聞いた。



「結解十郎兵衛です。」



えっ、まさか!我が剣の師匠ではないか!



来る、来るぞ!扉を開いた瞬間に師匠は斬りかかって来る。



呼吸を止め、無我に染まり、剣を確かめ、扉を開こうとして止めてみた。



扉一枚むこうに死があるのかもしれぬ、そう思うと無性に想像して絵を描きたくなった。



結局、扉を開かず、僕は師匠の絵を描きあげた。



次の瞬間、背後に師匠の気配を感じ、振り向くとやさしい24が真後ろにいた。



そして一言。「臆病者・・・。」


2013_はじめ筒井はじめ(Tsutsui Hajime)

芸術家。東京都出身。小学生の時からアート活動を開始。賞歴は6歳から始まる。手掛けるデザインはファッション界も強く結びつき、早乙女太一の着物をはじめ、数多くの女優の衣装を担当する。各界から注目されはじめ、2013年4月ロイヤルミュージアム上野の森美術館で個展を開催した。日本お地蔵さまを守る会の臨時副会長。
FaceBookアカウント:筒井はじめ

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