やさしい24  第3話

[ to live wisely and agreeably and well ]という言葉がある。
これは1960年頃、ユネスコで「なぜ学ばなければならないか?」
という人類普遍の問題に対して「学ぶことの目的」を定めたもの。

もうちょいと正確に言うと生涯学習の必要性が出てきた現代、
生涯学習をし続けなければならない理由をこんな風に決めたんだ。
この言葉、色々な解釈があるけど、おれ流の解釈では、
「人間としてこの世に生まれたんだから、人間っぽく生涯を送るのが
いいんじゃないか、じゃー、どんな生涯の目標を決めればいいんだ?
少しずつでいいから「賢く」なろうよ。賢くなると愉快な時が多くなる。
悲しいこと、寂しいこと、つまらない時間、あれは辛いもんさ。
それと健康ねっ、五体も大事だけど、一番大切なのは頭の中の健康かな。」
今日、やさしい24は珍しく話しかけてきた。
「ユネスコってネッシーがいるところでしょ?」
僕はしびれた。ネッシーはネス湖だから、その微妙なズレにしびれた。
少ししびれて停止している僕にやさしい24は、繰り返し聞いてきた。
「ユネスコってネッシーがいるところでしょ?」
間違いを全て正すことは間違いかもしれないよ。
正すことに意味がない間違いは正解でもいいかもしれないね。
そもそもネッシーは本当にいるのかねぇ?
それよか、ふなっしーの中身が気になるねぇ。

ピンポーン。
「おや、誰だろう?」
僕は忍び足で玄関に向かい、小声で「どなたですか・・・」そう聞いた。
「本多忠勝です。」
正直、恥ずかしかった。。。僕は彼の妹と内緒で旅行した過去があるけど忠勝が好き。
そんなこんなで、すぐさま彼をアトリエに引っ張り込んで、彼の絵を描いた。
絵を描き終えて疲れた僕に、やさしい24はプラッシーをくれた。



2013_はじめ筒井はじめ(Tsutsui Hajime)

芸術家。東京都出身。小学生の時からアート活動を開始。賞歴は6歳から始まる。手掛けるデザインはファッション界も強く結びつき、早乙女太一の着物をはじめ、数多くの女優の衣装を担当する。各界から注目されはじめ、2013年4月ロイヤルミュージアム上野の森美術館で個展を開催した。日本お地蔵さまを守る会の臨時副会長。
FaceBookアカウント:筒井はじめ

■関連記事
やさしい24  第1話
やさしい24  第2話