キヤノンは、EOSのマウント、レンズをベースに、映像制作用のレンズ、カメラで構成するCINEMA EOS SYSTEMを新たに開発。2012年1月下旬より順次発売していくと発表した。

●豊富な現行EFレンズに加え、新たに映像制作用にEFレンズレンズを開発。ズームレンズ2本と単焦点レンズ3本。今後、単焦点レンズのラインナップを拡大していく。

●EFレンズとPLレンズに対応するレンズ交換式ビデオカメラ EOS C300/EOS C300PLを開発。

●4K動画記録を実現する動画メインのデジタル一眼レフカメ
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映像用のEOS システムは「CINEMA EOS SYSTEM」と名付けられ、ハリウッドの映画業界にも本格参入することが発表された。赤いCのロゴが特徴だ。
現地でのサポートセンターも開設される予定。
現地でキヤノン株式会社代表取締役会長兼CEOの御手洗氏が11月3日にプレゼンテーションをし、その映像が4日の日本発表で流された。
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プロジェクトのスタートは2年前の2009年だったという。つまりEOS 5D MarkIIの動画が映像業界、とくに映画の業界に受け入れられるということで、業界関係者にヒアリングしながらのスタートだった。

まずカメラは、EFマウントを採用したEOS C300とPLマウントを採用したEOS C300 PL。
EOSというネーミングがついているのが驚きだ。
価格はオープン価格だが、市場想定価格は150万円前後。C300は1月下旬、C300 PLは3月下旬から発売される。
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この角度からみると、往年の8㎜シネカメラを彷彿とさせる。

もちろん従来のEOS用のレンズを装着できる。写真はEF85mm F1.2L IIを装着した状態。

センサーはこのために新開発したスーパー35㎜相当(APS-Cの上下を切ったサイズ)で、有効画素数は約829万画素。つまりスチルカメラ、ビデオカメラよりも1画素あたりの面積は大きくなることで受光性能は高くなるわけで、高感度、低ノイズを実現した。また光の三原色の色ごとにフルHDの映像信号を読み取ることで、単板式ながら3板式と同等の映像処理を可能にしている。
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記録メディアはCFカードで2スロット仕様。
コーデックはXFシリーズと同じ、MXFの4:2:2 MPEG2 50Mbps。EOS MOVIEの信号よりも色情報が多く、合成時にも有利。

フレームレートは59.94i、50.00i、29.97p、25.00p、23.98p、24.00pを用意。
バリアブルフレームレートは60倍速で記録するファーストモーション、1/2.5倍速のスローモーションが可能だが、1/2.5倍速は720pになってしまう。ここだけはちょっと残念な仕様だ。

ボディは、パナソニックAG-AF105やソニーFS100Jのいいとこどりをしたイメージで、グリップ、ハンドルなどは着脱が可能。モニタ-ユニット&音声入力は着脱が可能。本体自体はひじょうにコンパクトで、狭いところでの設置にも対応。またグリップも想像以上に持ちやすく、手持ちでも充分撮影できそうだと感じた。
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液晶モニターは着脱式で、これが台座のようなものが回転するだけでなく、モニターを横に開くこともできる。カメラマンはファインダをのぞきながら、周囲のスタッフには横向きのモニターで映像を見せるということができる。
映像出力系もEOS MOVIEと異なる部分で、HDMI、HD-SDIが各1系統、用意されている。
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マウント部は基本的にEOSと同じ。ただしEOSにあったミラーボックスは外され、そこにNDフィルターが装備された。回転式の3種類の濃度のND フィルターを横のプラスとマイナスのボタンを送っていく。このNDフィルターが入ったためにボディ高はある程度必要になったと思われる。

カスタムピクチャーは、XF300と同等のものがあるようだが、映画用にコントラストやシャープネスを抑えたフラットな画質で、撮影後の編集や加工作業の自由度が高いCanon Logガンマも採用した。カスタムピクチャーは、EOS MOVIEと同じモードも用意されているという。

レンズは、トップエンドズームレンズシリーズが2本
CN-E14.5-60mm T2.6 L (EFマウントとPLマウント) 価格390万円(税別)
CN-E30-300mm T2.95-3.7 L(EFマウントとPLマウント)価格410万円(税別)
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4Kに対応した高い光学性能に対応。スーパー35㎜相当、APS-Cサイズに対応。
(35㎜フルサイズ、APS-Hには非対応)
新設計の11枚絞りバネを採用し、柔らかく美しいボケ味を表現できる。
フォーカスリングの回転角を約300度と大きくとったことにより、微妙なポイント合わせがしやすい。かつズームリングの回転角も約160度と大きく設定し、滑らかかつ微妙なズーム操作が可能になっている。価格としては他社の映画用シネズームレンズよりも安めの設定になっている。

単焦点レンズシリーズとしては、すべてEFマウントで、
CN-E24mm T1.5 LF
CN-E50mm T1.3 LF
CN-E85mm T 1.3 LF
価格はすべて59万円(税別)。2012年7月から8月にかけて発売される。
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こちらも4Kを想定した高い光学性能をもつ。
単焦点レンズは35㎜フルサイズにまで対応しているので、EOS 5D MarkIIでの使用も可能だ。
フォーカスリングは回転角300度と大きく、微妙なピント送りがやりやすい。
フォーカス、絞りの指標はレンズ外装の傾斜面に表示することにより、カメラ後方からの視認性を向上させている。また3本の単焦点レンズで、前玉径やリング部のギア位置を統一したことにより、マットボックスやフォローフォーカスのアクセサリーの取り付けがやりやすくなっている。
まずは、24、50、85㎜の3本だが、今後、市場の要望をききながら、ラインナップを拡充していくという。

今回発表されたカメラは4K対応ではないが、4Kの撮れる動画カメラについても開発中というアナウンスがあった。
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従来のEOS MOVIEの動画撮影機能をよりいっそう一層進化させた「新しいコンセプトのデジタル一眼レフカメラ」だという。35㎜フルサイズのCMOSセンサーを搭載し、4K動画記録(24P Motion-JPEG)を可能にした。
試作機を見る限り、ベースとなっているのは先頃発表されたEOS-1D Xであり、このモデルはその上位版(ムービー強化バージョン)という位置づけのようだ。
スタイルは従来のEOSと同様だが、このカメラは動画がメインとなるモデルになる模様。
製品名称、詳細な仕様、発売時期は未定とされているが、2012年中の発売を目指すとしている。

CINEMA EOS SYSTEMのサイトはこちら


補足を編集長の取材ノート



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