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目で見たままを記録したい、それがビデオカメラという製品の進化の方向だったと思う。

小型サイズで手のひらにすっぽりおさまったり、オートフォーカスやオート露出、シーンをカメラが判断して何もしなくてもきれいな画が撮れたり、歩きながらでも手ブレしない滑らかな映像を作ってくれたり・・・。これまでパスポートサイズやTRVスタイルなどエポックメイキングな製品でビデオカメラの歴史を作ってきたがソニーが、次に提案(挑戦?)するビデオカメラの進化の方向が、このデジタル双眼鏡である、と言ってしまうのは、ちょっとうがちすぎだろうか?
手ブレ補正が入ったデジタル映像による双眼鏡。
しかしその映像を2D/3DでAVCHD記録できる


この商品のカテゴリはデジタル双眼鏡。ソニーとしてはこれまで双眼鏡を出してこなかったが、バードウォッチャーなど双眼鏡を使うユーザ—が同時に記録もしたいというニーズを捉えて製品化したという。しかし中身は3Dビデオカメラだ。スタイルは両手で保持する双眼鏡そのものだが、レンズは2眼が連動して動くズームレンズであり、それぞれのレンズから入ってくる光を1/4型Exmor R CMOSセンサーで受ける。画像処理をした後、AVCHDの3D映像(MVC形式)として1枚のメモリーカードに記録する。レンズは光学式の手ブレ補正が入っており、2D記録、静止画記録も可能。要は同社3DハンディカムのTD10が双眼鏡スタイルになったものと捉えてもあながち間違いではない。
 ファインダーは2つあり、視度調整、目幅調整も可能。液晶パネルがなく、ファインダーが2つというのがビデオカメラとの最大の相違ポイントかもしれない。

ターゲットはガジェット好きではないか?

ソニーはターゲットをバードウォッチャーなどアウトドア派としているが、冒頭で書いたようにこれはビデオカメラのひとつの進化形のような気もする。
 実は、ちょうど一年前のビデオサロン11月号は創刊30周年号であり、そこで長年ビデオカメラの歴史を見てきた3人の評論家に座談会をしていただいたのだが、そこで出てきた近未来予測に「かつのサンヨージーマのように双眼鏡スタイルの3Dカメラ」という話があった。その座談会を読んで開発を始めたということはあり得ないが、まさにこのDEV-3はそれそのものである。座談会はその話の続きに、「究極は眼鏡になっていて見たまま記録できるビデオカメラ」と笑い話になっていくのだが、ある意味、新しモノ好き、ガジェット好きが反応しそうな製品だと思う。

 試作機段階で試す機会があったが、双眼鏡といいながら、実は近いところのものにもピントが合い、3D効果がある。いや、むしろ近いところものを撮ったほうが異様なリアル感が得られて病み付きになりそうな気がした。
(10月上旬のCEATEC会場のソニーブースでは、遠いところを見せていたが、実はあれでは3D効果はほとんど得られず、覗いた人には真価が伝わらなかったに違いない。近いところにモデルを配置すべきだったと思う)
もうひとつ他では味わえないと思ったのが、完全に両目をファインダーにつけてその世界にどっぷり浸かれる没入感。ビデオ撮影が液晶パネルメインになって久しいが、両目でみる分、こんなに撮影に没頭できる環境は初めてかもしれない。
一眼レフカメラの楽しさはファインダーを覗いたときにあるとはよく言われることだが、このデジタル双眼鏡は覗くこと自体が楽しい。これは昨今のビデオカメラにはなかったものだと思う。

果たしてこのデジタル双眼鏡、誰に受け入れらるのか?
ビデオサロンとしては、ぜひ、ビデオカメラファンにこそ体験してほしい「カメラ」だ。


ソニー
デジタル双眼鏡
DEV-3
11月11日発売予定
オープン価格(実勢13万円前後)


GPS機能がついた業務用モデルDEV-5Kもある。
こちらは11月1日発売で21万円。

ソニーのDEV-3情報ページ
DEV-3 プレスリリース
業務用のDEV-5Kの情報はこちら


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