地上波デジタル放送はハイビジョン高解像度が快適だが、それでもBSデジタルやブルーレイほどには高画質ではない。これはアニメのような映像を見たときに、一般ユーザーにも顕著に違いがわかるものになる。ここでは、なぜ地デジの映像がBSデジタルやブルーレイほど高画質ではないのか?そして、より美しい映像で地デジアニメを見るためにはどうするべきか?を紹介する。



■そもそもフルHDではない地デジ映像
さて、まず、地デジ映像は実はBDデジタルやブルーレイと比較したときに、その土台からして劣っている。その解像度は実は1440☓1080ドットでしかないのだ。現在、主流になっているテレビは1920☓1080ドットのフルHD解像度であるため、地デジ対応テレビでは、この映像をフルHDに補正して表示しているのだ。これがテレビによって、映像クオリティに大きな差がある一因になっている。

■地デジがフルHDではない理由
この地デジ映像がフルHDではない原因は、その帯域にある。BSデジタルが衛星から映像を受信できるため、高いビットレートで転送できるのに対して、地上の高層ビルなどの障害物に邪魔される地上波放送では高速に、つまりは美しい映像を送信することができないのだ。ちなみにBSデジタルのビットレートは約24Mbps、地デジは約17Mbpsになる。地デジはBSデジタルの約2/3の帯域しなく、映像クオリティもそれなりなのだ。ブルーレイビデオでは最高38Mbps(MPEG2)などというものもあり、地デジ映像とは次元が違う。

■アニメの映像傾向
そんな地デジ映像も世界に誇れる日本の優れた家電メーカーによる映像補正によって、それなりに美しいものとなって表示される。しかし、映画やドラマなどの自然な映像というのは、それなりに描写できるのだが、アニメのような線画では粗が出やすくなる。大画面TVで見るとよくわかるが、特に輪郭の線あたりではノイズが出やすくなってしまうのだ。放映後で発売されるブルーレイビデオなどと映像を比較すると、地デジ映像は劣るものになってしまう。

■地デジアニメ映像を補正してくれる映像機器
東芝REGZAの超解像技術「レゾリューションプラス4」では、このようなアニメ独特の映像の問題を補正するように映像補正をする仕組みを持っている。録画してじっくり見るという人も多いと思うが、レコーダーではパナソニックの最新のDIGAやソニーのレコーダーBDZ-AX2000、BDZ-AX1000などがアニメ向けの映像補正機能を搭載しているので、地デジのアニメ映像をより美しく見たい人にはお勧めだ。

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一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

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