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被災地など一部エリアを除き、地デジへの移行が完了した日本のテレビ放送だが、アナログ放送の録画が無限にダビングできたのに対して、地デジでは録画のダビング回数に制限がある。ここでは、この地デジのダビング制限ルールである「ダビング10」とはどんなものなのか?について紹介する。

■地デジダビングはなぜ制限される?
アナログ放送の受信映像は、伝送の間に劣化し、放送局から発信された状態から画質が落ちている。そして、ダビングにおいて、さらに画質は劣化し、ダビングを繰り返すほど画質は劣化していく。これに対して、デジタル放送では原理的には放送品質から受信品質まで画質の劣化がなく、ダビングしても劣化しない。そのため、このままではDVDなど市販コンテンツの販売に影響するなどの理由で、ダビング回数に制限が加わることいなった。

■コピーワンスとは?
放送開始当初の地デジ、BSデジタルなどの日本のデジタルテレビ放送のダビング制限機能は「コピーワンス」というものだった。これは名前から考えると1回しかコピーできないというものだが、実際はコピーするとオリジナルが削除されるというもので、実質的にコピーというより「ムーブ」(移動)とも言えるものだった。ブルーレイにダビングするとHDDから削除されるので、実に不便だった。

■自由度を増したダビング10
こんなに不自由では地デジが普及しないということで、2008年に開始された「ダビング10」ではよりルールがゆるくなった。現在の市販レコーダーはこのダビング10ルールに対応している。ダビング10では、レコーダーのハードディスクの録画から9回のダビングと1回のムーブができるようになった。つまりはブルーレイレコーダーのHDDに録画すると最高10枚のブルーレイにダビングできる。

■ムーブバックでさらなる進化を
コピーワンスや当初のダビング10ではブルーレイメディアへダビングした録画は他のメディアに対してダビングできなかった。しかし、最近、ダビング10に新たに「ムーブバック」という機能が追加され、ブルーレイにダビングした録画を、レコーダーのハードディスクにムーブできるようになった。ムーブバックは現在、ソニーやパナソニックなどの最新ブルーレイレコーダーが対応しているが、次の世代のレコーダーでは標準的に対応することになるだろう。


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一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

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