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2011年7月24日についに一部地域を除きアナログ地上波テレビ放送が停波した。さて、かつて1990年代後半に「2000年問題」というコンピュータ関連問題が大きな話題となったことがある。そして、現在、世間ではマヤ文明に関連して2012年に人類が滅亡する可能性があると騒いでいる。来年、人類が滅亡するかはわからないが、2012年には地デジにも大きな問題が発生する可能性がある。今回はこの「地デジ2012年問題」について紹介しよう。

■スカイツリーは何のため?
ムサシ(634m)などと言って人気の東京スカイツリーだが、ただ高い塔を作ったわけではない。もちろん、地デジの配信のためである。このスカイツリーからの地デジ配信は来年2012年に開始されることになっている。ここで、「おや?」と思った人もいるだろう。そう、2011年7月にすでに地デジへの移行(被災地など一部エリア除く)が完全に行われているからだ。

■送信所の変更で電波発信位置が変わってしまう
スカイツリーは実は僕の家から歩いて10分ぐらいの墨田区押上にある。そして、現在、テレビ放送を行っている東京タワーは港区にある。2点の距離は9~10km程度。この距離だけ聞くと大したことがないように思えるかも知れないが、放送を受信するアンテナには指向性があるため、その送信所の方を向いていなければならない。たとえば、2点の中央の場所ではアンテナの位置を180度変えないと送信所にアンテナが向かないのだ。

■一部ではアンテナ工事で対処する必要が
2点の中央というのは極端な例だが、実際にアンテナの方向を調整しないと電波を受信できない場所が出てくることが予想される。この場合、正常な地デジ受信にはアンテナの方向を変えるアンテナ工事が必要になるだろう。このアンテナ工事には普通の電気屋に依頼すると万円単位でコストがかかるのではないだろうか?もちろん、これは受信者が自分で負担することになるだろう。

■コストは市民負担(?)の地デジ2012年問題
この送信所が東京タワーからスカイツリーに変更されることによって、「東京エリア近辺の一部の視聴者はアンテナ位置の調整が必要になる可能性がある」というのが地デジ2012年問題。つまらないことと言えばつまらないことかも知れないが、自腹でそのコストを払うハメになるかも知れない一般市民にとってはうれしいことではないだろう。国が負担してくれればありがたいが、現時点ではそのアナウンスはないようだ。


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一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

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