東芝のREGZAの一部機種など、最近のテレビでは普通のパソコン用市販USB外付けハードディスクに録画できるものが増加している。普通のハードディスクを使用できるということで、一見、便利そうだが、実は長期的に見ると問題になることがある。今回は、そんな外付けUSBハードディスク録画対応テレビに興味のある人に、購入する前にぜひ知っておいてもらいたい問題について紹介する。


■容量あたりの単価が安いハードディスク
ハードディスクは大容量で低価格、転送が高速であるため、コストパフォーマンスがよく感じられる。パソコン向けの市販の外付けUSBハードディスクはもはや2TBで2万円以下なので、これを録画に使えればコスパがいい。また、レコーダーからのダビングに使う場合、転送速度も速いなど、いい事ずくめに思えるハードディスクだが、市販ハードディスクゆえに弱点もある。

■著作権保護で他のメディアにダビングできないHDD
それは著作権管理の問題だ。現在の日本のテレビ放送には「ダビング10」という強力な著作権保護がかけられている。ブルーレイレコーダーなどが内蔵するハードディスクに録画した場合、他のメディアに対して、10回のダビング(正確には9回のダビングと1回のムーブ)ができるというものだ。従来、ブルーレイメディアへの録画は他のメディアに転送できなかったが、最近、ムーブバックでブルーレイからHDDへの書き戻しができるようになった。しかし、市販USB外付けHDDへ保存した録画は他のメディアに転送できない。

■テレビを買い換えると録画HDDは再生できない
USB外付けハードディスク録画対応テレビでは、USBハードディスクを使うために初期化処理をするが、この初期化を行ったテレビでしか再生することができないのだ。他の機器に接続して再生できないため、テレビを買い換えれば、HDDの録画はもはや永遠に再生できないことになる。この制限は市販ハードディスクが、そもそも単純にデータを記録するためのものであり、著作権保護機能を持っていないというのも理由だ。

■残念な地デジの著作権保護
このように市販ハードディスクを使うがゆえの問題を持つUSB外付けハードディスク録画対応テレビだが、その根本的な問題を作っているのは我が国の「地デジ」の著作権保護システム。できれば、このようなものをなくし、自由にダビングできるようにしたほうが多くの人が録画を目にすることができ、結果として番組内の広告を見る人も増えて広告効果も上がると思うのだが、どうだろうか?


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一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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