BDZ-AX2000


最近のブルーレイレコーダーのテレビコマーシャルを見ていると、「10倍録画」、「12倍録画」というような言葉をよく耳にする。この10倍録画とか12倍録画などというのは「長時間録画」と呼ばれるジャンルの機能になる。この長時間録画というのはどんな機能で、ユーザーにどんなメリット(あるいはデメリット)があるのだろうか?


■そもそも長時間録画って何だ?
現在のデジタルテレビ放送は、アナログの時代と異なり、基本的にデジタルデータの転送で行っており、放送品質と受信表示品質が変わらない。現在の地デジやBSデジタルの映像はMPEG2という形式で圧縮されており、その映像品質は時間あたりのデータ量、ビットレートに比例するものとなっている。長時間録画機能ではこのMPEG2をより圧縮率の高いMPEG4形式に変換することで、保存データ量を少なくしている。このおかげで、同じHDD容量でも、より長時間の録画が可能になるのだ。

■「~倍」の基準はBSデジタル
さて、実はBSデジタル放送と地上波デジタル放送では放送クオリティが異なっている。これは障害物のない衛星放送であるBSデジタルが高速にデータを転送できるのに対して、地上のアンテナ塔から放送する地上波は高層ビルなどの建造物にさえぎられて、高速にデータを転送することができないためだ。ちなみにBSデジタルのビットレートは24Mbpsであり、地デジは17Mbpsと2/3程度のクオリティでしかない。

■長時間録画の映像クオリティ
ソニーのブルーレイレコーダーではSRモードで8Mbps、LSRモードで4MbpsのMPEG4に変換される。SRモードはBSデジタルではビットレートが約1/3になるが、地デジでは約1/2になる。SRモードはBSデジタルのオリジナルの3倍の時間録画できるので3倍録画ということになる。ちなみにBSデジタルの方が地デジより圧縮する前のデータ量がリッチなため、同じ長時間録画モードでも地デジより映像が美しい。

■メーカーによって異なる長時間録画のクオリティ
一般に長時間録画になればなるほど、データ量の不足で画質が低下していくことになるのだが、8倍録画、10倍録画など同じ比率の長時間録画でできたとしても、その映像クオリティはレコーダーの変換機能によって異なる。また、再生機器によっても異なる。再生機器によって異なるのはノイズ補正などの機能が異なるためだ。僕の見る限りでは現時点のレコーダーの長時間録画のクオリティに関してはソニー、パナソニックが比較的、優れているようだ。逆に長時間録画の画質をもっとがんばって欲しいと感じるのは東芝である。


一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。