地上波デジタル放送がゴーストがないクリアな映像と言っても、やはり、放送局からの電波を受信しているテレビである以上、感度不足で受信できないということは起こりうる。また、テレビと複数のレコーダーなど、多くの機器にアンテナを分配した場合に減衰して感度が不足してしまうこともありうる。ある程度の状況において感度不足を補うことができるのが「ブースター」だ。


■ブースターって何だ?
ブースターとは増幅器であり、文字通り、弱い信号を増幅してより強いものにしてくれる。感度不足を補うために使われる機器であり、地デジ放送になってはじめて登場したわけではなく、従来のアナログ放送の時代から存在した。

■地デジのためのブースター
ブースターを購入する場合、注意したいのはその対応する周波数帯。地デジはUHF帯域で放送されるため、UHF帯域の電波に対応したものでなければならない。また、ブースターには大きく分けて屋内型と屋外型がある。屋外型というのは一軒家などで使い、室外の壁などに取り付けるため、日曜大工的なスキルが必要になる。これに対して屋内型はモデムのような形状で、ケーブルを接続するだけで使える。通常は屋内型がお勧めだ。

■どこに接続する?
ブースターは大元のアンテナケーブルから機材までの間に接続して電波を増幅するわけだが、分配器を使っている場合、当然、ブースターは分配器より前のレベルで接続する必要がある。そうすれば、元になるデータが増幅され、すべての機材での感度が向上するからだ。また、ブースターによっては複数の出力端子を持っているため、分配器が不要になるケースもあるだろう。

■万能ではないブースター
ブースターの増幅能力は「利得」(単位dB)の数値であらわされ、これが大きいほど電波を増幅してくれるため、この数値が購入時の1つのポイントになるだろう。しかし、気をつけなければならないのは、もともとの感度が極めて低い場合、ブースターを使ってもやはり受信できないということだ。最近のテレビやレコーダーは受信感度を表示できるため、どの程度感度が不足しているのか調べてからブースターを導入するのがお勧めだ。あまりに受信感度が低い場合はアンテナ自体をより感度の高いものにする(屋内アンテナを屋外アンテナにする)とか、放送波での受信をあきらめ、CATVや光回線での視聴を検討する必要があるだろう。

単体接続では普通に視聴できるが、分配器で複数の機器を接続したら感度不足になったような場合は、ぜひブースターがお勧めだ。


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一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

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