最近のノートパソコンはバッテリの持続時間が延びており、数時間の外出で使うなら、ACアダプタは不要だ。だが、長年染みついた習慣というのは恐ろしいもので、年中、ノートパソコンにACアダプタをつなげて使っている人は多い。筆者はこれを「AC族」と呼ぶことにしているが、中高年層に多いようだ。「節電」が迫られるこの夏、この人びとはパニックに襲われる……かもしれない。


■バッテリを持ち歩かぬ「AC族」
「AC族」の徹底ぶりたるや、大変なものである。ACアダプタをつなぐことなしにノートパソコンを起動しないというだけではない。「猛者」ともなると、バッテリをはずしたノートパソコンを持ち歩く。最初から、バッテリ動作を想定していないわけだ。

こうなるのには理由があり、一つは、「軽い」という利便性を徹底して求めている場合。もう一つは、バッテリが劣化してほとんど用をなさなくなったので、あらかじめはずしてしまっている場合だ。ACアダプタをつなげたままにしておくと、バッテリの劣化が早い。後者の「AC族」は当然にも、自分の使い方がバッテリ劣化を早めたことを知らないのである。

■「帯電」という悪夢
「AC族」は、帯電というトラブルにも遭いやすい。ACアダプタをつなげたままにしておくと、電源ボタンを押しても一瞬で電源が切れてしまうなどで、正常に起動できないという症状に襲われるようになる。パソコンだけではない。同様のことは、環境によってはプリンタなどでも起こる。

これはパソコンに不要な電気が帯電しているからで(冬季に起きやすい)、パソコンの電源を切り、コードを抜いてバッテリを外し、周辺機器をすべて取りはずして、数分~数時間放置しておけば解決する。

この症状、この1年間に筆者周辺の「AC族」で3件も起きた。「AC族」は自分の操作法がトラブルの原因とは知らないので、すぐ「修理に」と騒ぎ出す。実に困ったものである。

■電力総量規制で「AC族」はどうなる?
「AC族」にとって、今夏の電力総量規制は脅威である。総量規制で15%程度の節電を迫られる企業は、バッテリ駆動によるノートパソコンの使用を促しているが、「AC族」はACアダプタを抜くことを極端に恐れるからである。

かれらは「抜くとパソコンが遅くなる」と言う。むろんウソではないが、液晶バックライトの明るさなども含めて設定変更でしのげることを知らないのである。といっても、Webや一般的なオフィス文書以上の作業をしているわけではないので、「遅い」といっても生産性に影響が出るほどではないのだが。

「節電」が叫ばれる中、ACアダプタをつなげたまま仕事をしていれば、部下や同僚の評判もよろしくない。いずれにしろ、バッテリ動作の経験のない「AC族」は心理的圧迫を受けざるをえないのである。

■ピークシフト設定ツールを使え!
ACアダプタを抜くことを恐れる「AC族」には、パソコンメーカーが配布する「ピークシフト設定ツール」を活用するのが有効である。これは、あらかじめ設定した時間帯になると、パソコンの電源供給を自動的にバッテリに切り替えるソフトウェアで、NEC富士通パナソニック東芝など各社から提供アナウンスがされている。

利用可能な機種には制限があるが、わざわざACアダプタを抜く必要がないので、心理的圧迫は減るだろう。むろん、バッテリをはずしていては用をなさないので、念のため。世の「AC族」に幸多からんことを祈る。


大島克彦@katsuosh[digi2(デジ通)]
digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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